働きながら税理士資格を目指すなら——外せない職場の選び方【現役所長が本音で解説】

働きながら税理士資格を目指す人におすすめの職場イメージ

難関試験として知られる税理士試験。「働きながら税理士試験に挑戦するのは無理なのでは?」と感じる人も多いでしょう。ですが実際には、正しい職場を選べば合格を現実にできます。

税理士資格取得を目指す人のための職場選びについて解説します。あなたの挑戦に参考になればうれしいです。

目次

はじめに:合否の多くは「職場」で決まる

「仕事が忙しくて勉強が進まない」「直前期に残業が増えて崩れた」——税理士資格取得を目指して勉強されている方から、こういった相談を受けることはとても多いです。
税理士は働きながら資格取得を目指す方が多い難関資格ですが、合格を勝ち取る人は、勉強が続けやすい職場をしっかりと選んでいます。逆に、環境が合わないと、努力量は同じでも年単位での遠回りになりかねません。

本記事では、会計事務所の所長としての実務経験と、受験生を多く見てきた立場から、転職先の選び方を地図にしてお渡しします。今日の不安を、明日の行動に変えていきましょう。

「どこで働くか」で学習効率はこう変わる

働きながら税理士試験に臨むなら、机に向かう勉強時間だけでなく、日々の仕事がどれだけ学習とつながるかで効率が大きく変わります。
実務と試験内容がリンクしていれば、自然と知識が定着し、結果的に勉強時間の短縮にもつながります。逆に、試験勉強と関係が薄い職場を選ぶと、学習時間が削られ、合格まで遠回りしてしまうことになります。

ここでは、働きながら税理士資格を目指す人が選ぶべき職場2つを解説します。

会計事務所・税理士法人(王道)

最も多くの受験生が選び、そして合格に近づきやすいのが会計事務所や税理士法人です。

税理士資格を目指す人に会計事務所・税理士法人がおすすめな理由は次の2つです。

  • 仕事の内容が税理士試験の勉強に直結していること
  • 税理士免許登録(税理士試験合格後)に必要な2年間の実務経験を積めること


仕事の内容が税理士試験の勉強に直結していること
会計事務所、税理士事務所で扱う法人税・所得税・消費税・相続税など、試験科目の多くが日常業務とリンクしています。仕事をしながら自然と復習になり、効率よく知識が定着していきます。

税理士免許登録(税理士試験合格後)に必要な2年間の実務経験を積めること
税理士試験に合格しても、登録するには2年以上の実務経験が必要です。
実務経験にあたるのは、下記のようなものです。

  • 会計帳簿の記帳
  • 決算・申告業務の補助
  • 税務に関わる実務全般など

こうした経験は、主に会計事務所や税理士法人で積むことができます。

そのため、多くの受験生は勉強中から会計事務所で働く道を選びます。試験と並行して実務をこなしておけば、合格後スムーズに税理士登録ができるからです。これはかなり大きなメリットです。ちなみにこれは雇用形態がアルバイト、派遣であっても認められます。

けれど注意点もあります。
事務所ごとに業務には偏りがあります。

  • 「簿記論」「財務諸表論」から勉強中で、仕事にも活かしたいのに相続メインの事務所だった
  • M&Aや再編(FAS寄り)に偏っていて試験科目と直結しない事務所だった

など、入所前に「自分の受験科目と噛み合うか」を必ず確認するのが大切です。

その他、会計事務所・税理士法人で働くメリットとしては、試験前に特別休暇を取れたり、合格手当が支給されたりと「受験生支援制度」が整った事務所もあります。

事業会社の経理

もう一つの選択肢が、事業会社の経理部門です。
税理士資格を目指す人に事業会社の経理をおすすめする理由は次の2つです。

  • 簿記論や財務諸表論の「基礎体力」をしっかり養える
  • 実際の決算書や会計処理を扱うため、机上の勉強だけでは得られない経験が積める

注意点
一方で、法人税や消費税などの税務は外部の税理士に委託している会社も多く、税法科目とのリンクは弱めです。
そのため、簿財を先に固めたい人や、受験スケジュールを計画的に進められる人には向いていますが、実務で学習を深めたい方は物足りなさを感じるかもしれません。

事業会社の経理で「実務経験2年」は認められる?

税理士として登録するには、試験合格に加えて「実務経験2年以上」が必須です。事業会社の経理勤務も対象になりますが、会社に勤務証明書を作成してもらい、日税連に提出して「実務経験あり」と判断される必要があります。証明書には、具体的に次のような内容が記載されることが求められます。

  • 仕訳や決算に携わっていたか
  • 財務諸表作成に関与していたか
  • 税務申告や税務調整を担当していたか

一方で「伝票整理」や「単純な入力作業」など、簿記知識を伴わない業務は対象外です。そのため、経理部門でどの業務を任されるかが非常に重要になります。

👉 つまり、事業会社の経理でも実務経験は積めますが、最終的には 証明書に書ける業務内容がカギ。就職や転職の段階で「どこまで実務に関われるか」を必ず確認しておきましょう。

会計事務所と事業会社の経理、どちらを選ぶべき?

会計事務所、事業会社の経理、どちらも実務経験を積める可能性はありますが、得られる経験や税理士試験との相性は大きく異なります。違いを整理すると次のようになります。

項目会計事務所・税理士法人事業会社の経理
実務経験の認定原則OK(税務業務が中心のため)内容次第でOK(証明書に明記必須)
業務内容法人税・所得税・相続税など税務中心簿記・財務諸表中心、税務は外注も多い
試験勉強との相性税法科目と直結しやすい簿記論・財務諸表論に強み
メリット税理士試験との相乗効果が高い実務で簿記・決算を深く理解できる
デメリット繁忙期が非常に忙しい場合あり税務経験が限定的になりやすい

学習効率と実務経験2年をクリアすること、両方を考えると、税理士試験受験生のほとんどの方は会計事務所(または税理士事務所)を選んでいます。

税理士を目指す人におすすめの「ホワイトな会計事務所」とは?

勉強効率も2年の実務経験達成が可能かも「どこで働くか」で大きく違いが出ることはお伝えしました。
次は、限られた時間の中で効率的に勉強と業務両立できる、“ホワイトな税理士事務所”の見つけ方を解説します。

ホワイト事務所を見極めるための4つの視点

税理士試験と両立しながら安心して働くには、「ホワイト事務所」を見極めることが大切です。求人票やHPの言葉だけでは分からないことも多いので、以下の4つの視点を持って確認してみてください。

1. 税理士が複数人在籍し、業務を分担できるか
繁忙期はどうしても仕事が集中します。3人以下の小規模事務所だと、一人あたりの負担が重くなり、残業続きになることも。
常勤税理士が複数名いて、案件を分担しながら計画的に業務を回せる事務所なら、繁忙期でも無理することが少なく働けます。

2. 受験生への理解や支援制度があるか
試験直前に特別休暇を取れる、残業を調整してくれる、合格手当が支給される。こうした事務所も結構あるので探してみましょう。
ただ、求人票に制度があっても形だけで、入所してみると、思っていたのと違うこともあるので、「実際に受験生がどのように働いているか」を必ず確認しましょう。

3. OJTや研修体制が整っているか
「いきなり顧客を任されて、右も左も分からないまま残業…」というケースは珍しくありません。
OJTや研修制度が整っている事務所なら、先輩のサポートを受けながら安心して成長できます。教育体制はストレス軽減の面でも非常に重要です。

4. 人間関係・職場の雰囲気は健全か
どんなに条件が良くても、所長が高圧的だったり職員同士がギスギスしていたら続きません。
面接や見学のときに「相談しやすい雰囲気か」「離職率が高くないか」を確認してみましょう。実際に働いている人の声を聞けると、より安心です。

ホワイト事務所を実際に見つける方法

では上記のようなことを考慮して、ホワイトな会計事務所を見つけるには具体的にどうしたらいいのか、解説します。

1. 求人票は“入口情報”に過ぎない

まず知っておいてほしいのは、求人票に書かれている情報はあくまで“入口情報”にすぎないということです。
「残業少なめ」「試験休暇あり」といった魅力的な文言が並んでいても、実際にはその通りに運用されていないケースも少なくありません。

特に「受験支援制度あり」と書かれていても、職員が多忙すぎて休暇が取れない、といった例はよく耳にします。
求人票は参考程度に。鵜呑みにしない姿勢が大切です。

2. 現場で働く人の声を聞く

本当に信頼できるのは「現場の声」です。
知人や予備校の先輩、あるいは業界の交流会で出会った人など、実際に働いている職員に聞ける情報は非常に貴重です。

  • 試験休暇は実際に取得できているか
  • 定時で帰りやすい雰囲気はあるか
  • 所長や先輩の指導体制はどうか

こうした点を直接確認できれば、求人票では見えないリアルな環境を把握できます。
最近は事務所側も「カジュアル面談」を用意しているケースがあるので、積極的に活用してみるのもおすすめです。

カジュアル面談とは?
企業側の役員ではなく現場スタッフと気軽に話せる機会。転職エージェント経由で設定してもらえるケースが多く、応募前に職場の雰囲気や受験生への理解度を知るチャンスになります。

3. 転職イベントや合同説明会を活用する

効率よく複数の事務所を比較するなら、転職イベントや合同説明会が有効です。
直接所長や現場スタッフに質問できる機会があり、それぞれの事務所の雰囲気や特徴を比較できます。

「A事務所は残業20時間以内と言っていた」「B事務所は教育体制を重視していた」といった具体的な違いも見えてくるでしょう。
給与や残業時間だけでなく、試験勉強と両立しやすいかどうかを聞くのがポイントです。

4. 転職エージェントを味方につける

ブラック事務所を避け、ホワイト事務所に入所するために最も有効なのが、転職エージェントの活用です。
エージェントは事務所の内情を把握しているため、自分では調べにくいリアルな情報を持っています。

たとえば、

  • 受験生が何人在籍しているか
  • 合格実績があるか
  • 定着率がどうか

こうした情報は、求人票にはまず載っていません。
また、自分では聞きにくい質問も、エージェントが代わりに確認してくれるため安心です。

👉 求人票だけを見ていては、ホワイト事務所かどうかは判断できません。
「現場の声」「転職イベント」「転職エージェント」を組み合わせ、多角的に情報を集めることが、後悔しない転職のための最善策です。

まとめ

環境次第で合格率は大きく変わる

税理士試験は努力だけでなく、どんな職場で働くかが合否を左右する決定的な要素です。

  • 会計事務所・税理士法人なら、実務と試験が直結し「実務経験2年」も同時にクリア可能。
  • 事業会社の経理は簿財の基礎に強いが、税法科目との相性や証明書の記載内容に注意が必要。
  • どちらにせよ、受験生に理解ある“ホワイト事務所”を選べるかが長期的な成否を分けます。

求人票の情報だけで判断せず、現場の声・転職イベント・転職エージェントを活用して、信頼できる環境を選びましょう。

転職エージェントについて詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。

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